今日の朝刊(8月16日付け日経新聞)に、「ウーバーイーツ配達員が労組結成へ」という記事が掲載されていた。インターネット経由で仕事を受け、自由に働く「ギグワーカー」という働き手の保護が問題になっている。個人事業主扱いのため、労働基準法の適用はない。労働者でも正規従業員に比べ、パート・アルバイトなどの非正規従業員の保護は遅れているが、個人事業主の保護はないに等しい。日本でのこの種の議論は海外に比べて遅れているらしい。コンビニのオーナーもそうだが、労働基準法で守られている「労働者」と比べ「個人事業主」の保護はなおざりにされたままである。
個人事業主には、最低賃金、有給休暇、労災保険などの適用はない。よって、極端に低い金額で契約されている内職従事者等も存在すれば、病気やけがで無収入といったこともある。しかも、日本の所得税法で給与所得者に適用される「給与所得控除」も適用されない。年収300万円のサラリーマンは98万円、400万円では124万円、500万円では144万円が給与所得控除として、この控除後の金額をもとに税金が計算される。個人事業主にはこれがなく、実際にかかった必要経費を収入金額から差し引いた額で税金計算を行う。配達員等の店舗・事業所をもたない個人事業主は収入金額からガソリン代などの必要経費を差し引いた金額が所得金額とされる。400万円の配達収入があった場合、必要経費はサラリーマンの給与所得控除124万円よりかなり少額のため、所得金額は多くの場合サラリーマンより多額となる事が多く、必然的に税金も多額となる。さらに、社会保険料を会社で2分の1負担してくれるサラリーマンと違い、自ら国民年金に加入することとなるが、将来もらえる年金額はサラリーマンのもらえる年金額よりかなり見劣りがする。老後に備えて2000万円の貯蓄は夢のまた夢という状況が目に見える。
2019年08月16日
配達員が労組結成へ
個人事業主の悲哀