国税庁が発表した「民間給与実態統計調査」によれば、民間企業で働く正規雇用者や非正規雇用者の平成28年の平均給与は421万6千円で前年比1万2千円の増加だったことが明らかになった。平成25年から4年連続で増加しているが、20年のリーマンショック前の水準には戻っていない。
民間給与の平均額はバブル経済後の平成9年の467万3千円をピークに徐々に下降し、20年のリーマンショックの影響で21年には405万9千円へと19年比7.2%の下落となった。ここ数年は上昇傾向にあるが、リーマンショック前の水準には至っていない。
平成28年の平均給与421万6千円の内訳は給料手当が357万1千円、賞与が64万5千円となっており、男女別の総額は男性が521万1千円、女性279万7千円となっている。さらにこれを正規雇用者と非正規雇用者に区分して見てみると、正規雇用者が486万9千円、非正規雇用者が172万1千円となっている。非正規雇用者はパートタイム等、短時間労働者が含まれるため単純比較はできないが賃金格差は広がっている。
平成24年と28年の正規雇用者と非正規雇用者の人数を比べると、正規雇用者は3011万6千人から3182万2千人と5.7%の増加だが、非正規雇用者は987万6千人から1154万6千人へと16.9%の大幅増加となっている。アベノミクスで雇用者が増えたとされるが、非正規雇用者の増加によるものであり、会社としては、長期間働く正規雇用者よりも賃金の低い非正規雇用者を雇い入れる傾向にあり、「ワーキング・プア」と呼ばれる低所得層が増加している状況である。
2017年10月23日
正規雇用と非正規雇用の格差拡大
国税庁の民間給与実態統計調査より