格安ツアーの旅行会社「てるみくらぶ」が倒産し、虚偽の決算書類を提出して銀行から融資金2億円をだまし取ったとして社長ら2人が警視庁に逮捕されました。ツアー客約3万6千組が払い込んだ旅行代金約100億円の弁済もわずか数パーセントになりそうな見込みとのことです。社長は債権者集会で数百人の出席者を前に「だますつもりはなかった」と釈明に追われたようです。航空会社から余った席を安く購入し、旅行客に低価格で販売する手法で一時は業績を拡大していましたが、近年、航空会社は空席リスクを抑えようと機体の小型化を推進したほか、訪日客の増加で空席が減り、得意分野の仕入れ市場は縮小していたにも関わらず、「格安」に拘り続けた結果の倒産と言えます。仕入れ値を下回る価格での販売を続ければ、会社の資金繰りは回らず倒産に至るのは新入社員でもわかります。製造業等では、材料を仕入れ、それを自社で加工したり、外部の業者に加工を委託(「外注」と言います)したりして製品とするため、正確な原価の把握のため自社にあった原価計算システムを構築する必要があります。
てるみくらぶは、創業して15年目の2013年には粉飾決算に手を染め、2014年9月期は実質的に債務超過に陥っていたにも拘わらず架空の利益を計上して虚偽の決算書類を作成し債権者等の利害関係者をだましていたもので、「だますつもりはなかった」が本心だとすればあまりにノー天気としか言いようがありません。これは、ひとえに企業犯罪に対して寛容な日本の法律や風土が影響しているものと思われます。戦後、日本は「欧米に追い付け、追い越せ」と必死に頑張ってきました。その過程で企業の犯罪等に寛容な風土が出来上がってしまったからかも知れません。今日も新聞にある化学メーカーの品質偽装の記事が載っていました。せっかく築いた日本製品に対する高品質の評判に泥を塗る行為が頻発しています。必要な品質水準を明確に定め、それを順守することが日本企業の将来にとって極めて重要です。
2017年11月24日
会社倒産
行き過ぎた安値販売、原価管理の不徹底で会社は潰れる