内国法⼈が海外進出した場合に、その国では⾃国への海外企業誘致のため優遇税制措置を認め租税を減免している場合があります。このような場合でも、外国税額控除の対象となる外国法⼈税額は、原則的には減免後の実際に納付した外国法⼈税額となるため、外国税額控除においては減免措置の効果はなく、開発途上国での優遇税制措置の⽬的が達成できないことになります。
そこで、開発途上国において減免された租税のうち租税条約において定められたものについては、減免された部分の納付があったものとみなして外国税額控除を適用できる場合があります。この制度をみなし税額控除(タックス・スペアリング・クレジット)といいます。つまり、みなし外国税額控除とは、その所得源泉地国で減免された税金について本来の課税がなされたとみなして、日本において外国税額控除を認めるという制度といえます。
なお、みなし税額控除は課税の公平性や中⽴性の観点から廃止・縮減の⽅向にあります。2020年8月1日現在、日本との間の租税条約において有効なみなし外国税額控除制度の規定がある国は、ザンビア、スリランカ、タイ、中国、バングラデシュ、ブラジルの6ヵ国です。
水野隆啓
浜松市/会計事務所/税理士/公認会計士/外国税額控除/みなし外国税額控除
- Posted by 2021年04月27日 (火) | コメント(0)
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