外形標準課税は、資本金1億円超の法人を対象として、平成16年度に導入されました。その後、平成27、28年度税制改正では、法人事業税所得割の税率引下げと併せて、段階的に外形標準課税の割合を拡大してきた経緯があります。外形標準課税は、企業が課税所得を計上していなくとも(赤字でも)納税が必要となることから、資本金1億円超の大企業に対して広く浅く課税するものと言えます。
一方で、外形標準課税の対象法人数は、平成18年度をピークとして減少傾向が継続し、令和2年度はピーク時の3分の2に減少しています。総務省の地方財政審議会が対象法人数の減少に関してサンプル調査したところ、様々な減少要因のうち「減資によるもの」が多いとの結果が得られているようです。会社法上も資本金から資本剰余金への振替を行うことは比較的容易であり、「外形標準課税逃れ」とみられる動きが以前から広がっています。
上述したとおり、外形標準課税の適用は資本金1億円超の法人と形式的なものですが、地方財政審議会は「実質的に大規模といえる法人が外形標準課税の対象法人に含まれないという問題に対応するための仕組みを検討することが適当」とし、制度の変更を検討していくようです。資本金基準に加え、従業員数等の他の基準を導入することを軸に、具体的な検討が進められると考えられます。
水野隆啓
浜松市/税理士/公認会計士/会計事務所/地方税/外形標準課税
- Posted by 2022年11月28日 (月) | コメント(0)
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