年間所得が2000万円を超える方等に義務付けられていた「財産債務明細書」ですが、
平成27年度からは装いも新たに「財産債務調書」に変わります。
これまでの所得要件(総所得金額及び山林所得金額の合計額200万円)に加え、
資産要件(総資産3億円以上又は国外転出特例対象財産(有価証券等)1億円以上)を
満たす方が確定申告する際に提出が求められます。
似たものに「国外財産調書」(平成24年度税制改正で導入済)があり、こちらは
偽りの記載や不提出がある場合の罰則規定が設けられていますが、
「財産債務調書」には罰則規定はありません。
ただし、下記のインセンティブ措置が設けられてますからご注意を。
所得税や相続税に申告漏れがあった場合、
・財産債務調書に記載がある部分については、過少申告加算税等が5%軽減
・財産債務調書が不提出、又は記載不備がある部分については、過少申告加算税等が5%加重
とアメとムチの措置が取られています。
従来の「財産債務明細書」では提出義務があるにもかかわらず、
該当する者の約4割程度しか提出がなかったと推計されていますから、
上記要件に該当する場合、(アメの恩恵を受ける/ムチを免れるためにも)
今年からは、この「財産債務調書」の提出を忘れずに行いたいものです。
ところで、「財産債務調書」に記載する財産価額について、
相続税申告時のように厳格な評価方法を毎年採用することは実務上の手間ですので、
見積価額を記載することも許容されています。
新しい制度ですので、不明な点等がありましたら当方までお気軽にご相談ください。
課税庁の思惑とはいえ、年1回の確定申告シーズン時に、
ご自身の財産債務のポジションを確認することは有益なことでしょう。
資産形成、相続対策等にお役立てください。
監査課 石巻幹子
- Posted by 2015年11月02日 (月) | コメント(0)
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