収益の認識基準は通常、「実現主義」と言われております。費用の認識が「発生主義」と言われるのに対し、収益は「実現」したとき計上するという原則です。「売上」で言えば、商品を引き渡したとき、「引き渡し基準」と言われます。卸売業のような業態では、出荷・納品・検収といった段階があります。商品を販売会社の倉庫から運送業者に引き渡したときを「出荷」、相手の会社に届いたときを「納品」、相手の会社がその商品を間違いないと検査したときを「検収」といいます。どの時点で売上に計上すればいいのかと迷いますが、現行ではどの時点でも問題ありません。毎期継続して同じ時点で売上に計上していればの話ですが。ただし、今後の流れとしては、大企業では「検収基準」が強制されそうです。出荷・納品段階では必ずしも「確定性」は万全ではありません。傷や数量不足等により返品されたり、値引きを余儀なくされたりする可能性があるからです。
これ以外にも請負工事等では、契約時点において「お客様」「売上金額」「引き渡し時期」がほぼ確定しているため、「工事進行基準」が認められています。完成・引き渡しをもって収益に計上する「工事完成基準」の例外基準です。
したがって、予約や契約成立だけでは売上高に計上することは会計原則に反することとなります。
強い会社は収益の「確定性」に拘った会計方針を採用している会社が多いものです。ただし、上場企業では、3ケ月ごとに「四半期決算」を発表している影響で、建設業を中心として「工事進行基準」による会社が増加傾向です。この場合は、原価の正確な把握ができることが必要条件です。
2020年01月07日
会社を強くする会計方針
収益の認識基準