フリーランスは、特定の企業や団体に属さず自らの技能を提供して収入を得ている「個人事業主」である。近年よく見かけるウーバーイーツの配達員もフリーランスである。従業員ではないため、フリーランスが業務上において交通事故等を起こしても、会社は責任を負わず、相手への補償等もフリーランスが負うことになる。従業員であれば受けられる会社からの庇護はなく、かつ、社会保険料(国民健康保険料、国民年金保険料)も全額自己負担となる(従業員であれば、健康保険料等の半額は会社が負担してくれる。)。しかも、労働保険(雇用保険・労災保険)にも加入していないため、業務上で怪我をしても医療費はすべて自己負担、休業中の補償も何もない。一見、所得税の源泉徴収もない(一部の事業には源泉徴収されるものがある。)ため、手取り額は多いが決して恵まれているとは言えない。
この時期に前年分の所得税確定申告をする必要がある。所得金額は、「収入額」から「収入を得るために負担した必要経費」を控除して求めることとなる。ウーバーイーツの配達員を例に取ると、必要経費となるのは、配達に使っているバイクや自転車の減価償却費のうちの事業使用割合分、バイクのガソリン代、保険料、税金等のうちの事業使用割合分、携帯電話使用料金のうちの事業使用割合分、ジャンパー、ズボン、靴等の購入額のうちの事業使用割合分等である。こうして計算するとおそらく数万円程度が年間の必要経費であろう。逆に言えば、あまり経費のかからない事業であるとも言える。
年収300万円のサラリーマンであれば98万円の給与所得控除があり、課税される金額は202万円。「家内労働者等」(内職など)には55万円の控除が認められているが、配達者にはこれにも該当しないものと思われ、控除できる金額は少なく、納付すべき所得税等の額の多さに驚かれるフリーランスも多いのではと想像に難くない。
2021年01月29日
フリーランスの確定申告
意外と少ない必要経費、比較的高い税金