静岡市社会福祉協議会の会計監理室副主幹が2009年4月から2010年12月の間に社協名義の五つの銀行口座から64回にわたり約2億6500万円を着服したとして逮捕され、静岡地裁で検察側は懲役7年を求刑した。判決は5月10日に出る予定である。
この種の事件は後を絶たないが、いずれにも共通点がある。それは、一人の担当者に出納事務を任せっきりにしていることである。恐らく、この出納責任者も根っからの悪人かと言えば、多分そうではなく、つい出来心から一度公金に手を付け、誰も気づく気配もないため、次から次に64回にもわたり、着服したものと思われる。検察側は論告で「出納責任者の地位を悪用した巧妙で悪質な犯行」と指摘した。このことは、紛れもない事実であろう。しかしながら、出納という重要業務を一人に任せっきりにした、社協の体制も責められてしかるべきである。
口座から引き出す際の印鑑を上司が管理し、上司の押印がなければ、金を引き出せないような体制さえ作っておけば、恐らくこの事件は防げたであろう。また、監事が監査業務をしっかり行っていれば、このような出来心は生じなかったかも知れない。そう考えると、上司との業務分担(内部統制制度)や監事監査がしっかり機能していなかったことに関する責任も明確にする必要がある。
金を横領した者をかばうつもりはないが、簡単にそれができてしまう体制にも大いに反省が必要であり、「監事」の責任は書類に「監査の結果、正しいものと認めます。」と書類に署名・押印するのみではないことを肝に銘ずるべきである。
「内部統制システムの運用整備」、「監事の監査業務の遂行」を今回の事件の大きな反省点として、見直すことが横領・着服を防ぐ最大の手段である。浜松市 会計事務所 税理士 相続税 事業承継 経営改善