2022年04月19日
タワマン節税敗訴
財産評価基本通達による評価は不適当
納税者(上告人)は、相続税の申告にあたり、相続から3年5ヶ月前(甲不動産)と2年6ヶ月前に購入した不動産につき、納税者は財産評価基本通達の定める方法によって評価した額(通達評価額)により申告したところ、税務署長から、相続財産のうち不動産の一部の価額は上記通達の定めによって評価することが著しく不適当と認められるから別途実施した鑑定による評価額(鑑定評価額)をもって評価すべきであるとして、更正処分を受けたため、税務署長を相手にその取消しを求める裁判が最高裁で争われた。
この不動産の購入価格の合計は13億8700万円、通達評価額は合計3億3370万円であり、通達評価額で計算した相続財産は10億5500万円の借入金により、マイナスとなり、相続税は0円として当初申告が行われたが、この不動産の鑑定評価額12億7300万円で評価した場合は3億円超の相続税額として更正処分が行われた。上記通達の定める評価方法を形式的に全ての財産の価額の評価に用いるという形式的な平等を貫くことにより、かえって実質的な租税負担の公平を著しく害し、法の趣旨及び上記通達の趣旨に反することになるという特別な事情があると言えるから、他の合理的な方法によることが許され、上記鑑定評価額はこの不動産の客観的な交換価値としての時価と認められるから、更正処分等は適法であるとして、納税者(上告人)らの請求を棄却した。
不動産取得による相続税節税は広く一般的に行われているが、あまりに極端な節税行為は税務署に否認される可能性が高いので注意が必要である。また、タワマン等の評価方法が現状に合っていないということも指摘されており、今後、評価方法の変更が行われる可能性もある。