若い割烹着姿のリケジョから夢のSTAP細胞に関する発表とともに、「世紀の大発見、またもや日本からノーベル賞候補出現か?」と日本中が舞い上がったのも束の間、さまざまな疑義が指摘され騒ぎは収まる気配がない。
STAP細胞(刺激惹起性多能性獲得細胞)は、細胞を弱い酸性の溶液に入れて刺激を与えることにより作られ、様々な組織や臓器の細胞に分化する能力を持つ万能細胞とのことである。生命科学の常識を覆す発見とされたが、その論文に過去の論文からのコピペや過去の論文に搭載した画像が使われている等、様々な指摘がなされ、疑問が解消されない日々が続いている。彼女の所属する理化学研究所の会見でも、理事長等は自分の責任を自覚していないのか、「未熟な研究者がデータをずさんに扱った」「論文の体をなしてない」等の批判がなされ、この論文の取り下げも検討しているらしい。
論文発表者が未熟な研究者か否かなどは上司が分かっていたはずであり、その論文をチェックもせず、公表したことの責任は本人のみならず組織そのものにあるはずである。公認会計士である私の目から見ると、研究から論文発表までの業務に関する内部統制が全然できていないように見える。作動試験もせず、工業製品を世にだすことは民間企業ではありえない。さまざまな試験を繰り返し、世に発表するのは当然である。学者の世界だけは特別で、研究者個人任せが当たり前なのかも知れないが、あまりにお粗末、「組織の体をなしてない」と言わざるを得ない。
今後は、この過去を猛烈に反省し、理研が一丸となって、一日も早くこの疑念を払拭しなければ、化学研究の世界から日本は信用されなくなってしまうであろう。正常にSTAP細胞が作製されることを祈るのみである。