消費税を平成27年10月より10%に増税する案があったが、1年半先送りされた。アベノミクスにより、経済状況が好転するはずだったが、この4月からの消費税増税の反動減の影響を払拭できず停滞したままであったため、今回の先送りになったようだ。平成24年12月の安倍政権誕生以来、日銀の大胆な金融政策により円安が進行し、輸入物価の上昇を反映した物価上昇により実質賃金は下がり続け、庶民の懐は満たされない状況が続いている。想定では、円安⇒輸出増加⇒設備投資⇒雇用増加⇒賃金アップという好循環により景気が良くなると判断していたものと思われるが、製造業は海外で売るものはその国で生産するという「地産地消」が進み、そう簡単には、生産の日本回帰は起こらない。為替相場もさることながら、安価な人件費、豊富な労働力、安価な原材料の調達等、海外生産でのメリットは捨てきれないのであろう。輸出産業の業績は好調を続けており、それにつられて株価も上昇しており、いい面もあるが、非正規社員は増え続け、国民の格差は拡大傾向にある。消費税増税により充実するはずだった福祉予算も増やせず、食料品に低減税率を適用するという案もあるが、それによる減収分は福祉予算の減少になるのであれば、ただ手続きが煩雑になるだけではないかと思う。
あえて言うまでもないが、日本の借金は1000兆円を超えており、毎年の歳出(約90兆円)を賄うにはほど遠い税収(約50兆円)であり、毎年、国債の発行は増え続けている。2年前の民主党・野田首相と自民党・安倍総裁が党首討論で国民に「身を切る改革」を確約した。財政再建のための消費税増税は衆議院定数の大幅な削減とセットではなかったか? 消費税の増税は粛々と行われたが、衆院定数削減は一向に進む気配がない。国民が大きな声を上げない限り、これは進まない。国民全員がこの国のことをよく考えるいい機会としたいものである。2014年12月05日