3月に起きた福島原発の事故以来、電力需要のピークを迎える夏をむかえ、節電について考えさせられた人も多い。今まで、水と空気はただだと思っていた多くの日本人も健康ブームで水に金をかける人が増えてきている。電気も景気悪化による収入減に備えた節約に加え、電力会社がテレビで流す発電量と使用量の割合を見て、初めて節電に気を配った人も多い。電力料金の決め方も地域独占企業ゆえ、発電コストに利益を加えて売却単価が決められることも知ることができた。われわれ中部地方には、トヨタをはじめとする巨大民間企業が多いため目立たないが、北海道、東北、四国、九州などにいけば、企業の代表格は電力会社である。電力は国(経済産業省)と深く結びつき、わが世の春を謳歌してきた。私は、大学を出て務めた監査法人で昭和50年ごろ青森県六ヶ所村の工場団地造成現場を視察に行ったことがあった。その会社は通産省(現、経済産業省)と東京電力、東北電力が主要株主の第三セクターであった。こんな原野を開いたところで工場等を建設する企業はあるのだろうかと思われる僻地である。今にして思えば、納得。そこには今、核燃料廃棄物の中間貯蔵施設がある。この青森県六ケ所村の平均所得は全国平均の6倍と何かに書いてあった。定かではないが、迷惑施設の設置場所には多額の税金が交付金として落とされているようだ。浜岡原発もそうだが、交付金がなくなるとその地域の財政が破たんしかねない。使用済み核燃料の永久貯蔵施設の確保以外にも経済的な問題等、原発問題は根が深い。
2011年09月06日