日本の人口減少がすさまじい。1年間に生まれる子どもが100万人を割り込んでいるのに対し、死亡者は130万人となり、毎年、中規模の都市が消滅するくらいの人口減少が進んでいる。こんな中、空き家は7件に1件と言われ、土地も約2割が所有者不明となっている。かつては、土地は大きな財産だったが、今や、一部の土地は単なる負の遺産となりつつある。土地の所有者には固定資産税が毎年かかるが、その土地を利用してなければ、固定資産税は単なる負担となるだけである。土地の所有者を特定するには、登記を確認すれば良いが、登記は必ずしも義務化されている訳ではないので、登記しないことも多い。登記には手間がかかり、登録免許税も掛かる。不動産を購入するとき、銀行等で借金をしようとすると、その不動産を担保とするため登記をしなければ借金が実行されない。しかしながら、親から相続したようなときは登記されないことも多い。また、子どもがいないため、相続そのものがはっきりしないことも多々ある。特に子どものいない高齢夫婦の御主人が亡くなったときなどは、遺言書があればいいが、遺言書がなければ、遺産分割協議書を法定相続人全員で作成し、実印を押印する必要がある。子どもがいない場合には、亡くなった御主人の兄弟も4分の1の法定相続分があるため、兄弟全員の実印が必要となる、高齢者故、兄弟の中に病気等で判断能力に欠ける人がいれば後見人を付けなければならない。また、兄弟の中にすでに死亡している人がいれば、その子どもが代襲相続人となるためそれらの人の同意も必要となる。相続がスムーズに行われない可能性は大きいと言わざるを得ない。特に、それぞれが遠隔地に居住しているとなおさらである。相続制度や不動産制度の抜本的な改革が必要である。
2017年08月16日
所有者不明の土地が増えている
土地の2割、九州と同程度の面積の土地が所有者不明