強い会社の決算書は、そうでない会社と比べて何が違うのだろうか?
強い会社を作るには、自社に厳しい会計方針を採用していることが最低限必要である。損失は早めに処理し、収益は確実になってから計上する。
職業柄、倒産企業の決算書に接することがあるが、大半はこの逆で「不良債権を貸倒れ処理せずそのまま計上されている。」「不良在庫がそのまま計上されている。」「減価償却が実施されていない。」さらには「固定資産である土地を再評価し時価で計上している。」等の粉飾決算が多い。このことにより金融機関の目を騙し、延命していることと推測される。本末転倒とはこのことを言う。
自社にとって厳しい会計方針のもと決算書を作成することが出発点である。そのうえで、以下に示すような数値基準をオーバーできるような経営努力を続けることによってのみ強い会社は出来上がる。しかもこれを継続しなければすぐに坂から転げ落ちることとなる。不断の経営努力のみが会社の継続を保証してくれるのである。
私は、決算書を見るとき、貸借対照表から見ることとしている。
貸借対照表の全体を眺め、各項目のバランスを見る。そのあとは純資産(自己資本)、純資産の合計はどれくらいか、総資産に対してどのくらいの比率(純資産比率)か、利益剰余金(過去の儲けの合計)はいくらくらいか、など。純資産比率が40%を超えていれば良い会社だと思う。それ以外に注意して見るポイントは、流動資産のうち、現金預金の額、売掛債権の額、棚卸資産の額である。特に売掛債権、棚卸資産の額は損益計算書の売上高を12で除した一月当たり売上高に対してどのくらいとなっているかを注意して見ることとしている。これがあまりに多いと不良債権や不良在庫が隠されているのではないかと疑いが出てくる。このあとは、流動資産と流動負債の比率(流動比率)を見る。流動資産が流動負債の1.5倍以上(流動比率150%以上)あれば合格点といえる。負債の部で見るのは有利子負債(借入金、社債など)の額がどれくらいかを注視する。この額と現金預金の額とのバランスはおおいに気になる点である。
損益計算書では、売上高が総資産の何倍か(総資産回転率)を最初に見て判断する(製造業では1回以上が必要)。このあと、売上高に対する利益額(売上高営業利益率、売上高経常利益率、売上高当期純利益率)を見ることとしている。どの数値も5%以上あれば合格点である。
もし赤字に陥ったときは、抜本的な経営改善が必要である。赤字になるから、減価償却はしないでおこうなどという甘っちょろい考えでは永遠に会社は良くならないことを経営者は肝に銘ずる必要がある。そんなくだらんことを考えるより、まずはすぐできることから経営を改善することが重要である。
2019年12月18日
強い会社を作る
強い会社を作るには、会計方針が重要