年金生活者の老後は30年間で2000万円の資金不足に陥るという金融庁の委員会報告について政府自民党は受け取りを拒否し、報告書はないものとした。大勢の委員(有識者)が相当時間を掛けて作成したようだが、予定されている参議院選挙(7月21日?)を前に、あまりよろしくないとの判断のようだ。もともと、安倍首相は年金について「100年安心」を謳っている。年金財政はかなり逼迫しており、そのため、数年前からリスク資産である株式も運用対象としている。国民の中で、100年安心と思っている人は少ないのではないか。特に40歳未満の若年層はほぼ諦めているような感じが強い。少子高齢化が進行しており、当然の帰結と考えてもおかしくない。そんな中で、金融庁は国民に注意喚起の意味で本当のことを知らせておくために正直な発表をしようとしたものと思われる。
そもそも「100年安心」は年金財政のことであり、老後は年金だけで生活ができると保証しているものではない。人口が増加傾向で経済も成長していれば年金だけで老後を暮らすことは不可能ではない。現に今、年金生活を送っている人たちはそれができている人も少なくない。しかしながら、今の日本は極端な少子化であり、人口は急激な減少をきたしている。年金のみを頼りにしていても無理なのは容易に想像できるが、現役のうちに2000万円以上の資産形成ができなかった人はどうすればいいのだろうか?
就職氷河期(平成5年以降の新卒者)世代は未だに非正規社員のままという人たちが大勢いる状況を考えると、年金もおぼつかない、生活保護も危うい、という過酷な状況が想像される。玉手箱が必要だ。
2019年06月12日
100年安心?
年金では老後30年間で2000万円不足