金融機関による2016年の不動産向け融資が12兆円超と過去最高を記録したようだ。背景にあるのは、相続税対策のマンション・アパート建設である。相続税法が改正されて、基礎控除の金額が従前の6割と大幅に減少した。法定相続人が3人の場合、従前は8,000万円(5,000万円+1,000万円×3人)の基礎控除だったものが、4,800万円(3,000万円+600万円×3人)となった。これにより、相続税の納税者は大幅に増加することとなった。相続税は、遺産の時価総額にかかるが、不動産の相続税法上の評価額(時価)は、建物の場合、建築価額の約5~6割とされているため、例えば1億円の借金をして1億円のマンションを建設することにより、4~5千万円の財産が減少することになる(例.建物の時価6千万円-借金1億円=△4千万円)。これを狙って、マンション・アパート建設が増加しているが、日本は人口急減社会(生まれてくる子供は100万人以下、60歳の人は200万人強)の真っ只中にあり、先行き大きな不安材料であることに間違いない。空室に悩む大家の増加、不良債権の増加等大きな社会問題にならなければいいが・・・。
一方、個人のタンス預金も増加を続け、この2月末で43兆円と対前年同月比3兆円増(8%増)となった。これも相続税対策の一環と思われるが、相続税の税務調査時にタンス預金を除外したことが発覚すれば、重加算税の追徴、最悪の場合、刑事告発されることもあり、税金は素直に納税するべきである。ただでさえ我が国は、1000兆円を超える借金を抱え、将来に大きな不安を抱えているのだから・・。