学校法人会計基準の一部改正(令和7年4月施行) 

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学校法人会計基準の一部改正(令和7年4月施行)

主なものを解説します

令和6年9月30日、「学校法人会計基準の一部を改正する省令(令和6年文部科学省令第28号)」が公布され、令和7年4月1日より施行されました。今回の改正は、学校法人のガバナンス強化や情報開示の充実を目的とするものであり、学校法人の経理・決算実務にも大きな影響を与える内容となっています。

以下では、今回の改正の趣旨および主な改正項目についてご紹介します。

 

改正の趣旨

従来、学校法人会計基準(昭和46年文部省令第18号)は、私立学校振興助成法に位置づけられ、補助金の適正配分を主な目的としていました。

しかし、令和6年の私立学校法の一部改正により、同基準は私立学校法に位置づけ直され、その目的は「ステークホルダーへの情報開示」に重きが置かれるようになりました。これに伴い、会計基準も見直されることとなりました。

 

主な改正内容

引当金の明文化

新基準では「賞与引当金」なども含めた広範な引当金の計上が求められるようになります。

新たに明文化された引当金の計上要件:

  • 将来の特定の事業活動支出であること
  • 過去の事象に起因するものであること
  • 発生可能性が高いこと
  • 合理的な金額の見積りが可能であること

 これら全てを満たす事象に対しては、引当金の計上が求められます。

 

セグメント情報の配分方法の見直し

共通費用の配分について、より実態を反映する基準が明文化されました。

  • 共通費用の配分基準: 在籍者数、面積、職員数など、経済実態を適切に表す指標による合理的な配分
  • 人件費の発令基準: 客観的な実態を反映していると合理的に説明できる場合に限る

この変更は令和9年度から本格適用され、令和78年度は旧基準との併用が可能です。

 

注記事項の拡充

従来の注記事項は8項目でしたが、新基準では15項目に増加しています。
情報開示の強化を意図しており、注記の記載負担は増す一方で、ステークホルダーへの透明性も高まります。

 

附属明細書の見直し

以下の書類が正式に「附属明細書」として規定され、様式・記載事項に変更が加えられました。

  • 固定資産明細書
  • 借入金明細書
  • 基本金明細書

これらは財務諸表と一体として監査の対象となることから、厳格な作成が求められます。

 

財産目録の記載方法の変更

新たに会計基準内に「財産目録の記載例」が示され、これを参考に作成する必要があります。

特に留意すべき点は、私立学校法上の会計監査人の監査対象となることです。従来は監査対象外とされていた法人においても、記載方法の整備が求められる可能性があります。

 

 

今回の改正は、単なる会計処理上の技術的な変更にとどまらず、学校法人の経営における透明性・説明責任の強化という本質的なテーマに根差しています。実務への影響も大きく、特に引当金の新設・注記の拡充・附属明細書の整備などは、今後の決算業務の計画にも影響するものです。

各法人におかれましては、早期の理解と対応準備が不可欠です。改正内容を正確に把握し、適切な運用体制を整えていくことが求められます。


水野隆啓


浜松市/会計事務所/税理士/公認会計士/学校法人/学校法人会計基準/私学法改正

 




  • Posted by 2025年06月30日 (月) | コメントコメント(0

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