会計不正には、大きく二つあります。
一つは、売上を多く計上したり、費用を翌期に先送りしたりして、決算書を実際より良く見せる「粉飾決算」(またはその反対の「逆粉飾」)です。もう一つは、会社のお金を私的に使う「資産の流用」です。こうした不正は、悪意のある人がいるだけで起きるわけではありません。経理業務を一人に任せきりにしている、請求書の確認、振込み、会計入力を同じ人が行っている、預金残高や入出金を経営者が確認していない、業績の悪化を社内で報告しにくい、売上目標の達成を強く求めすぎている、といった会社の仕組みも不正を招く原因になります。
不正や誤りを防ぐための仕組みを「内部統制」といいます。難しく聞こえますが、基本は、「一人だけで業務を完結させないこと」、そして、「別の人が後から確認すること」です。中小企業でも、担当者が振込データを作成し、経営者や上司が請求書、金額、振込先を確認して承認する、経営者が月に一度、預金通帳やインターネットバンキングの明細を直接確認する、できるだけ現金の取扱いを減らす、といった取組みはすぐに始められます。また、業績が悪いことを報告すると強く責められる会社では、現場が数字を良く見せようとする危険性が高まります。悪い情報ほど早く報告できる雰囲気をつくることも、大切な内部統制です。長年勤務している担当者を信用することと、業務を確認することは矛盾しません。確認の仕組みは、担当者を疑うためではなく、会社と担当者の双方を守るためのものです。
まずは、自社に「一人だけで最初から最後までできてしまう仕事」がないか、確認してみてはいかがでしょうか。
水野隆啓
浜松市/会計事務所/公認会計士/税理士/会計不正/粉飾決算/資産の流用
- Posted by 2026年07月30日 (木) |
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