タックス・ヘイブン(Tax Haven)とは、無税や著しく軽課税の国や地域のことで、租税回避地とも呼ばれます。多国籍企業や富裕層が、法人税や源泉徴収税が皆無に等しいタックス・ヘイブンに資産を移し、租税回避するケースが多く、2016年5月に公表された「パナマ文書」では、その利用実態の一部が明らかになりました。
このような租税回避を防止するためにタックス・ヘイブン税制があります。当該税制は、子会社等がタックス・ヘイブンにて稼得した所得を日本の親会社の所得とみなして課税するものです。しかし、現地国における、経済合理性のある事業活動から生じた所得は課税の対象とはしません。判定は通常次のステップで実施されることとなっています。
(1)まず、どの国でもできる事業に当たらないか?
・主たる事業が「株式や債券等の保有」「工業所有権や著作権等の提供」「船舶・航空機の貸し付け」ではない。
(2)次に、独立した企業としての施設と機能を有しているか(経済実態があるか)。
・所在地国に、主たる事業に必要な事務所等の固定施設を有する。
・所在地国において事業の管理、支配及び運営を自ら行っている。
(3)最後に、その国で事業を行う経済的合理性があるか。
・主として関連社(50%超出資法人等)以外の者と取引を行っている(卸売業、銀行業、信託業、金融商品取引業、保険業、水運業、航空運送業、航空機貸付業に適用)。
・主として本店所在地国で主たる事業を行っている(上記の業種以外の業種に適用)。
水野隆啓
浜松市/会計事務所/税理士/公認会計士/国際税務/タックス・ヘイブン税制
- Posted by 2021年07月29日 (木) | コメント(0)
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