海外に子会社等を有している場合、「国外関連者に対する寄附金」というのは常に注意しなければいけません。
税務上の寄附金は、いわゆる「寄附金」に限定されず、「金銭その他の資産の贈与や経済的な利益の無償の供与」を含む概念です。無償若しくは低廉な価格で資産を譲渡したまたは役務の提供をした場合、税務上の寄附金として取り扱われます。一般寄付金は一定の金額まで損金算入が認められますが、国外関連者への寄附金は全額損金不算入とされています。
例えば、日本企業が海外に新たに製造子会社を設立する際に、設立費用を負担したり、日本企業の従業員が設立手続きを実施することがありますが、当該設立費用や日本企業の従業員の人件費相当額は、本来海外子会社が負担すべき費用です。海外子会社に対してチャージ(請求)すれば問題ありませんが、設立当初は赤字で負担できないとして日本企業が費用を被った場合には、国外関連者への寄附金として全額損金不算入となります。
国外関連者への寄附金は実務上問題となることが多く、税務調査においても論点となりやすい項目です。発生した経費についてはどちらが負担すべきかを常に意識し、正しい取り扱いを行うことが肝要です。
水野隆啓
浜松市/会計事務所/公認会計士/税理士/国際税務/国外関連者への寄附金
- Posted by 2021年08月30日 (月) | コメント(0)
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