公正取引委員会は、インボイス制度の実施に際して免税事業者とその取引先との間で独占禁止法・下請法上問題となり得る行為について、令和4年1月、「免税事業者及びその取引先のインボイス制度への対応に関する Q&A」において考え方を明らかにしています。その後、独占禁止法違反につながるおそれのある複数の事例が確認されたため、違反行為の未然防止の観点から、「インボイス制度の実施に関連した注意事例について」を公表し、独占禁止法・下請法上の考え方を明らかにしています。
<独占禁止法又は下請法上問題となる得る想定事例(抜粋)>
発注事業者(課税事業者)が、経過措置(注)により一定の範囲で仕入税額控除が認められているにもかかわらず、取引先の免税事業者に対し、インボイス制度の実施後も課税事業者に転換せず、免税事業者を選択する場合には、消費税相当額を取引価格から引き下げると一方的に通告した。
(注)免税事業者からの課税仕入れについては、インボイス制度の実施後3年間は、仕入税額相当額の8割、その後の3年間は同5割の控除ができることとされている。
想定事例のポイントは、経過措置により一定の仕入税額控除が認められているにもかかわらず消費税相当額全額を取引価格から引き下げること、及び当該事項を同意なく(優先的地位の濫用により同意させる行為はNG)一方的に通知することと考えます。
令和5年10月から開始されるインボイス制度に関し、各種準備を急ピッチで進めていることと思いますが、本注意事例も含め注意が必要です。
水野隆啓
浜松市/会計事務所/税理士/公認会計士/消費税/インボイス制度/独占禁止法/下請法
- Posted by 2023年05月31日 (水) | コメント(0)
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