日産自動車㈱のカルロス・ゴーン元代表取締役会長が自身の報酬を過少記載(2011年からの5年間の役員報酬合計が実際は99.98億円だったが、有価証券報告書には49.87億円と記載)したとして、金融商品取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)の疑いで逮捕されました。これには国内で2例目となる司法取引制度が適用されているとのことです。
司法取引とは、刑事事件の容疑者や被告が、自分や他人の犯した犯罪行為についての情報を当局に提供する見返りに自身の処分を軽くしてもらう制度で、日本では平成30年6月から施行された新しいものです。アメリカでは多く適用されている制度で、組織の膿を出すことが期待されています。
本事件から波及して、ゴーン氏自身が保有する投資会社で発生した損失を日産自動車㈱に付け替えたことによる特別背任や、会社財産の私的流用による業務上横領といった罪も問われる可能性があると報道されています。事実であれば、こちらの方が重大と考えます。確かに、有価証券報告書の虚偽記載は許されるものではありません。しかしながら、世間一般に言われる「財務諸表の粉飾」とは違います。また、役員報酬の記載が違っているということで投資の意思決定を変更する投資家は稀ではないかと思います。この点、報酬の虚偽記載に焦点をおいている報道には違和感を持っています。
監査課 水野隆啓
浜松市/会計事務所/税理士/公認会計士
- Posted by 2018年11月30日 (金) | コメント(0)
この記事へのコメント
コメント投稿
※コメントは承認制のため、投稿をしてもすぐには反映されない場合があります。ご了承ください。
※スパム対策の為、お名前・コメントは必ず入力して下さい。
※記事が削除された場合は、投稿したコメントも削除されます。ご了承ください。