ある日、こんなことが起こるかもしれません。
「知り合いから土地を安い価額で買っただけなのに、税金を払えって言われた…」
一見すると理不尽に聞こえるかもしれませんが、これは国税徴収法に基づいたものです。無償又は著しい低額の譲受人等の第二次納税義務のリスクについて説明します。
第二次納税義務者とは、もともと税金を払うべきだった滞納者が支払えなくなったときに、その人に代わって税金を支払うよう国から請求される人のことをいいます。
たとえば、ある人が税金を滞納していたとします。その人が土地や不動産を家族や知人に通常の取引価額の50%以下の価額で譲渡を行いました。すると税務署は、「これは税金を逃れるために財産を譲渡したのではないか」と判断し、財産を買った人に対して「税金を払ってください」と請求してくることがあります。
こうした制度がある背景には、「納税義務者が財産を他人に移すことで納税を免れようとするのを防ぐ」という目的があります。
この場合に請求される金額は、滞納者の親族その他特殊関係者である場合には受けた利益の額、第三者である場合には受けた利益が現に存する額を上限としています。親族の間で、通常の取引価額が1,000万円の土地を500万円で売買した場合には、500万円が追及されることになります。
とはいえ、誰でも第二次納税義務を負うわけではありません。次の要件を満たした場合に追及される場合があります。
① 滞納者がその財産を無償または著しい低額による譲渡、債務の免除または第三者に利益を与える処分をしたこと
② 財産の譲渡や贈与が国税の法定納期限の1年前の日以後にされたもの
③ 滞納者の財産を処分しても滞納した税金の徴収が不足するとき
④ ③の滞納税額に不足する原因が①の処分に起因すること
こうした観点で総合的に判断されます。
税務署はこういった事例もきちんと見ています。名義の変更や財産の受け取りがあるときには、「相手に税金の未納がないか」「取引価格は妥当か」といったことにも少し注意を向けておくと安心です。
参考:納税通信 第3872号
法人税/所得税/消費税
監査課 森本
- Posted by 2025年05月23日 (金) |
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