最近、お米の価格が上がっているという話題をよく耳にします。
実際に、政府も価格高騰への対応として備蓄米の放出などの政策を実施しています。
では、そもそもお米の価格はどのように決まっているのでしょうか?
本記事では、経済学的な視点から「価格の仕組み」について基本に立ち返り、お米を例に分かりやすく解説していきます。
お米に限らず、価格はどうやって決まるのか?
価格は一般に、**需要(買いたい人の数・量)と供給(売りたい人の数・量)**のバランスで決まります。
【需要と供給の基本構造】
・需要が多い → 価格は上がる
・供給が多い → 価格は下がる
たとえば、災害時に飲料水やカップ麺の需要が一気に高まると、一時的に価格が上がるのと同じように、日常の商品価格も需給バランスの変化によって動きます。
価格に影響するその他の要因
需要と供給の他にも、以下のような複数の要因が価格の形成に大きく影響しています。
1.生産コストの上昇
価格には、原材料費・人件費・エネルギー費などの「コスト」が反映されます。
特に農業においては、以下のようなコスト増加が顕著です。
・肥料や農薬などの資材価格の高騰
・燃料費の上昇(トラクターや乾燥機に必要、物流コストの増加)
・農業従事者の高齢化・人手不足に伴う人件費の増加
これらが積み重なれば、農家の販売価格(卸売価格)も上昇せざるを得ない状況になります。
2.天候・自然条件
お米をはじめとする農作物は、天候に大きく左右されます。
・日照不足や長雨による生育不良
・台風や豪雨による収穫量の減少
こうした自然条件が悪化すると、供給量が減り、価格が上昇するという現象が生じます。
お米そのものは主に国産ですが、肥料や農業用資材の多くは輸入品です。
したがって、円安になると輸入資材の価格が上がり、間接的に生産コストが増加します。
また、国際的な穀物価格の上昇も、市場全体の心理に影響を与えます。
なお、お米のように生活に密着した農産物については、政府による「価格安定政策」も重要な役割を果たしています。
【政府による価格安定措置】
・備蓄米制度:政府が米を買い取り備蓄することで、供給過剰時に市場への影響を緩和
・直接支払交付金制度:水田の転作や飼料用米への移行に補助金を支給(減反政策)
これらの政策により、農家が安定して生産を続けられるように支援が行われており、結果として急激な価格変動の抑制にもつながっています。
水野隆啓
浜松市/会計事務所/税理士/公認会計士
- Posted by 2025年05月30日 (金) |
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