概要(事実関係)
精密小型モーター大手のニデック株式会社(京都符京都市)は、2025年3月期の有価証券報告書について、監査人(PwC Japan)が監査意見を「意見不表明」とし、内部統制監査でも意見不表明となりました(9月26日公表)。同社は第三者委員会の調査継続等により「十分かつ適切な監査証拠を得られない」旨の判断が示されたものです。
10月27日、東京証券取引所は同社株式を特別注意銘柄に指定(効力発生日:10月28日)。原則1年の改善が設けられ、是正できなければ上場廃止の可能性があると伝えられています。
監査意見の種類
一般にはあまり知られていないと思いますが、公認会計士による監査意見には4種類あります。
・無限定適正意見
「すべての重要な点において適正に表示されている」という最も一般的なクリーンオピニオンです。
・限定付適正意見
一部に重要な問題があるが、その影響が投資家の意思決定に重要な影響を及ぼさないと認められる場合に、「その事項を除き適正」とするものです。
・不適正意見
重大な虚偽表示が重要かつ広範で、財務諸表が適正でないと結論づけるものです。
・意見不表明
監査証拠を十分・適切に入手できない、不正等の影響額が現時点で十分に評価できない場合等に、財務諸表の適否を判断できないとして監査人が表明するものです。
不適正意見や意見不表明が出た場合でも、直ちに上場廃止としなければ市場秩序の維持が困難と認める特段の事情がない限り、まず特別注意銘柄(Security on Special Alert)に指定して内部管理体制の改善を求めます。今回の一番のポイントは、会計不正が本当にあったのか、あったのであれば経営者が関与したものだったのかです。
水野隆啓
浜松市/会計事務所/税理士/公認会計士/ニデック/不正/監査意見
- Posted by 2025年10月30日 (木) |
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