今月、ある会社様からのご依頼で、不正等が疑われる事案について、関連する内部統制の一部に対する調査業務を実施し、事実整理と改善の方向性をご提示しました。
不正の発生要因を説明する考え方として、よく知られているのが「不正のトライアングル」です。不正は、次の3つが単独または複数重なったときに起きやすくなります。
・動機(Pressure):借金や生活費の不足、家族の事情による金銭負担、ノルマなどのプレッシャー
・機会(Opportunity):チェック不足、権限集中、属人化など、“できてしまう環境”
・正当化(Rationalization):「会社のために頑張ってきた分だ」「後で戻せばいい」「これくらい大丈夫」という自己正当化
例えば、経理担当者が支払・記帳・照合を一人で担っている場合、チェックが形式的になりやすく、不正やミスの発見が遅れることがあります。また、売上計上ルールが曖昧だと、「来月に実現する予定だから」と前倒し計上が常態化するリスクもあります。
不正対策で最も重要なのは、不正が起きにくい仕組みを整えることです。
具体的には、職務分掌、承認の実質化、定期的なルールの見直し・運用確認等などです。不正の予防や、内部統制の点検について気になる点があれば、早めの相談が有効です。
<参考>具体例で見る「不正のトライアングル」
ここでは、実務上よく見られる(あるいは起こり得る)典型例を挙げます。
※特定の事案ではなく、一般化した例です。
例1:経理担当者による小口現金・振込の不正
・動機:家庭の資金繰りが厳しい
・機会:経理担当者が支払処理から記帳まで1人で担当、チェックが形式的
・正当化:「毎月残業して支えている。すぐ戻すつもりだった」
このケースでは、最初は少額でも、発覚しないことで金額が大きくなる傾向があります。
例2:売上の前倒し計上・架空計上
・動機:月次目標や銀行対応のプレッシャー
・機会:売上計上ルールが曖昧、証憑確認が弱い
・正当化:「来月には本当に売れる予定だから、実質同じだ」
これは資金不正だけでなく、業績不正(粉飾)の典型的な入り口です。
特に「少しの調整」が常態化すると、後戻りが難しくなります。
例3:購買・外注費の水増し(関係先との癒着を含む)
・動機:個人的な利益、キックバック
・機会:発注先選定がブラックボックス化しており、相見積りもなし
・正当化:「会社に損はさせていない」「業者との関係維持に必要」
見積・発注・検収・支払のプロセスが曖昧だと、長期間気づかないことがあります。
水野隆啓
浜松市/会計事務所/公認会計士/税理士/不正/不正のトライアングル
- Posted by 2026年02月27日 (金) |
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