税務調査といえば、税務署の調査官が会社を訪問し、帳簿や請求書などを確認する光景を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。しかし、こうした税務調査の進め方にもデジタル化の波が押し寄せています。2026年10月13日、国税庁は「税務調査等における帳簿等データの提出依頼に関する取組等について」公表しました。
国税庁では、実地調査に先立って会計帳簿などの電子データの提出を依頼する取り組みを進めています。従来は調査官が会社を訪問してから確認していた帳簿を、あらかじめ電子データで受け取り、分析・検証することで、調査の効率化を図るものです。会社側にとっても、調査期間や担当者の拘束時間が短縮される可能性があり、負担軽減が期待されています。
提出依頼は納税者の理解と協力の下で行うとされており、事前提出が義務付けられるわけではありません。ただし、税務調査における正当な理由のない提出拒否については、国税通則法第128条の罰則の対象となり得るため、強権的に帳簿等データの提出を求めることはないとされてはいるものの、任意だから断れば良いというものではありません。
もう一つ注目したいのが、提出されたデータの取扱いです。国税庁は、提出されたデータを厳重に管理するとしていますが、必要に応じて他の税務調査や行政指導に利用する場合があることも明らかにしています。電子データであれば、大量の仕訳を短時間で検索・集計し、特定の勘定科目や取引先、通常と異なる取引などを効率的に確認することができます。今後は、税務調査においてデータ分析が果たす役割が一層大きくなると考えられます。
水野隆啓
浜松市/会計事務所/税理士/公認会計士/税務調査
- Posted by 2026年10月30日 (金) |
コメント(0)
この記事へのコメント
コメント投稿
※コメントは承認制のため、投稿をしてもすぐには反映されない場合があります。ご了承ください。
※スパム対策の為、お名前・コメントは必ず入力して下さい。
※記事が削除された場合は、投稿したコメントも削除されます。ご了承ください。



