資産の評価は原則として「取得原価主義」であり、購入価額で評価される。この取得価額をもとに、固定資産は減価償却費として毎期、一定額が費用として計上され固定資産の簿価は減少していくこととなる。
資産の評価方法の例外として、売買目的の有価証券の評価方法がある。売買目的の有価証券は基本的に時価で評価される。株式や公社債等でいつでも証券市場で売買できるものは、期末時点の時価で評価される。もともと所有目的が売買目的であり、なおかつ時価が明確なものは時価で評価したほうが会社の期末における財務状況を明瞭に表示できるため、貸借対照表に時価で表示しようとするものである。
また、有価証券や棚卸資産の時価が著しく低下し、かつ、回復の可能性が認められるものを除き、時価で評価しなければならない(「強制低価法」と言われる。)。ここで「著しく低下する」とは一般的に取得価額の2分の1以下に時価が下がることとされている。回復の可能性があるか否かは大変難しい問題であり、2分の1以下になったものは時価まで評価減を行うのが一般的である。これは、有価証券や商品などの時価がはっきりしているものに適用される。
有形固定資産はこれを使用して、その取得価額を上回る収益を上げることを期待して購入しているため、期待どおりの収益が見込めない場合に「減損」手続きにより、評価減を行うこととなる。
つまり、資産につき「評価益」を計上できるのは「売買目的の有価証券」のみであり、あとはすべて原価法または低価法により、取得価額またはそれを下回る金額での評価となる。「見込まれる損失は計上するも、見込まれる利益は計上するべからず。」という「保守主義の原則」の現れである。
これに反する評価方法を採用したときは粉飾決算となる。例えば、工場の敷地(土地)を時価評価し評価益を計上すること等がこれに該当する。
2020年01月15日
会社を強くする会計方針
資産の評価基準