コロナ禍で業績が低迷している企業は多い。飲食業、旅行業、ホテル業界は気の毒としか言いようがないくらいひどい状況である。そんな中、大手旅行業者のJTBが資本金を23億400万円から1億円に減資するという新聞記事がでた。2月12日の株主総会で決議、3月31日付で実施するようだ。この減資によるJTBのメリットは何があるのだろうか?
日本の税制上、資本金1億円未満の企業は中小企業扱いとなり、資本金1億円以上の企業を比べると様々な恩典があり税負担が軽くなる。特に、国税である法人税と地方税である法人事業税におけるメリットは以下の通りである。
<法人税法上のメリット>
・繰越欠損金の控除の枠が大きい。
・法人税率の軽減措置が適用される。
・支出した交際費の損金算入の枠が大きい。
・特別償却や税額控除の適用が可能となる。
・取得価額30万円未満の固定資産を取得時に全額損金算入が可能となる。
<法人事業税のメリット>
資本金1億円未満の会社は、利益(所得)が出た場合のみに課税される。一方、資本金1億円以上の会社は外形標準課税が適用され、利益(所得)と関係なく、付加価値割、資本割の適用対象となり、赤字企業でもかなりの税負担となることがある。
なお、法人県民税・市民税の均等割額は、無償減資した場合には減額されないことに留意が必要である。
減資は会社法に則って実施する必要があります。検討される方は、当事務所にお問い合わせください。
2021年02月25日
資本金減資による節税
JTBが資本金を1億円に減資