「益税」という言葉が消費税の説明では使われます。ごく簡単に説明すると、消費税は本来、事業者が商品等を購入したときに支払った消費税と商品販売等で受け取った消費税の差額を税務署に納付するものです。したがって、この時点では誰も損得はありません。具体的には、商品を税込み110万円(品代100万円+税10万円)で購入し、税込み165万円(品代150万円+税15万円)で売却したとすると、この事業者が税務署に納付する消費税は5万円(15万円-10万円)となり、消費税は手元には残りません。
しかしながら、消費税の納税義務者には、過去の課税売上高の金額により「免税事業者」となっていることもあり、免税事業者は5万円が手元に残ります。また、消費税は一年間の事業活動のすべてを集計して納付しますが、一定売上以下の事業者には実際に受け取った消費税額と支払った消費税額の差額を納付するのではなく、簡易計算が認められており、受け取った消費税の一定率(事業種類ごとに異なります。)を乗じた額を納付することも認められています。この簡易課税制度でも事業者の手元に残る消費税があります。これらを益税と称しています。
今後、インボイス制度(別稿)が運用され、免税事業者の益税はなくなることとなります。また、簡易課税での益税も制度の改正により減少していくことが予想されます。
2022年10月14日
益税
耳慣れない消費税の話