30年以上にわたって賃金が伸び悩んできた日本が転機を迎えている。原因は「人手不足」に尽きる。女性やシニアの労働参加が頭打ちになったこと、円安もありアジアとの経済格差が縮小したことにより外国人労働者の流入が減ったことが主因と考えられる。
日本の総人口は2008年にピークを迎え、人口減少に転じたが、就業人口は2019年の6750万人まで上昇を続けた。08年以降、女性は約360万人、60歳以上は約390万人増え就業者の伸びを支えた。ただ、少子高齢化により、賃金上昇を抑制してきた女性やシニアなどの安い労働力は今後、枯渇する。
リクルートの試算では、経済成長が殆どない場合でも、2040年に約1000万人の労働力が不足するらしい。日本は構造的人手不足になっており、今後この人手不足により賃金上昇は続き、やがて物価上昇が訪れる。国際的な資源争奪戦による原材料価格の上昇もあり、物価上昇圧力は高止まり状況であり、コストの上昇を転嫁可能な価格競争力のある企業だけが生き残れるという厳しい状況が予想される。
2023年05月18日
賃金上昇
日経新聞(5月16日朝刊)を参照