成年後見人に選任された弁護士が、被後見人の女性の預貯金など計1460万円を着服していたとして、静岡県弁護士会は12日、同会浜松支部に所属する弁護士(50)を業務停止1年10カ月の懲戒処分に処したと発表した。被害額はすべて弁償されており、成年後見人に選任した静岡家裁掛川支部は弁護士を業務上横領の疑いで刑事告発し、静岡地検は在宅起訴した。成年後見人制度を悪用した横領事件は、全国的に珍しいことではなく、もともと制度に欠陥があるのではないかと思う。弁護士とて人間である。金銭欲が全くない人間は皆無であろう。私も、過去に東京に住む息子さんから浜松在住の父親の成年後見人をしていただけないかと頼まれたことがあった。何とかしてあげたいと思ったが、お断りした。一人でその方の財産を管理するには私には少々荷が重いと感じたからである。認知症の老人の金の管理を任され、つい誘惑に負けることなどあってはならぬことだが、成年後見人に限らず、金の支払い・管理は一人で行える体制は好ましいものではない。必ず出金の都度、第三者の承認手続きの後、預金引き出し・支払いを行うこと、また支払いの都度、その第三者が再度チェックすることが必要である。いつも監視されている状況であれば、後見人に変な出来心も湧いてこない。起訴された弁護士をかばうつもりはないが、制度を変えることの重要性を感じさせる事件であった。
2013年08月16日