「成功の道は信用を得ることである。どんなに才能や手腕があっても、平凡なことを忠実に実行できないような若者は、将来の見込みはない」。阪急電鉄の創業者、小林一三氏の言葉だと、先日、日経新聞に載っていた。
この創業者の言葉を知ってか知らずか、阪急阪神ホテルでレストランのメニューに誤表示(虚偽表示・偽装?)が発覚した。長年にわたり、冷凍魚を鮮魚等と表示していたというものである。食べてもわからないようなことなので、実際には大したことはないのであろうが、騙されたという感じは拭えない。当地のうなぎ業者も中国産を浜名湖産と偽っていたとの報道があった。中国米を国産米と偽装して売っていた三重県の会社は先日、廃業に追い込まれた。偽装倒産ではないと思うが・・・。
「信用」を創造するのは商売の成功のみならず、人間生活の基本として大変重要なものである。信用は一朝一夕にできるものではなく、こつこつ積み上げるしかない。とにかく、嘘をつかず、約束は必ず守り、相手を裏切らず、ただひたすら真面目に行動することで信用は醸成される。
一方、信用は自ら積極的に作り上げることもできる。政府の規制改革会議が、社会福祉法人の経営の透明性を検証した結果、ホームページか広報誌で財務諸表を公表している法人は全体の4割にとどまり、「行政から補助金等を受け、さらに税制上の優遇措置を受けながら、あまりにお粗末」と批判の対象となった。どの法人も真面目に本業に励んでいるものと思うが、財務諸表を積極的に公表することで、信用はさらに高まるものと思われる。監事の監査報告等も公表すればさらに信用は高まるに違いない。
「信用第一」は、今も昔も変わらぬ、商売、人間社会での基本中の基本であることを思い知らされた今日この頃であった。