人生意気に感ずとは、「人は利害や打算で行動するのではなく、相手の心意気に感動して動くものだということ」と故事辞典に載っている。
人は必ずしも合理的な経済人ではない。だから、経済予測等は大変困難なものとなる。経済合理性のみが人の行動を決定づける要因であれば、将来の景気予測等も比較的容易であろう。しかし、人間は時として、利害や打算といったものとは関係なく、相手の心意気に感動して行動することも、意地やメンツを重んじて行動したりもする。
東北大震災のあと多額の義援金が東北地方の人々に送られた。困っている人を見て、自分にできることはこれしかないと思い、多くの人が浄財を寄付する行動をとった。また、浜松市で創業した住宅メーカーは、近い将来おこるであろうと言われている東南海地震による津波にそなえるため地元浜松市(遠州灘)に防潮堤を造る資金として3年間で300億円という想像もできないほどの多額の金を寄付している。
天皇陛下も宿泊した浜松市のホテルも既存の借入金が多すぎ、今後やらなければならない耐震工事資金等の調達が困難と予想され、会社更生法を申請した。再建の支援には、創業40年に亘りホテル事業を営むインド人の経営する企業が名乗りを上げた。インドの発展に貢献した日本国、S社への恩返しといった気持ちが強く働いているであろうことは想像に難くない。浜松の社交場・迎賓館としての伝統を承継し、地域に密着したホテルとして再生することが期待できそうだ。
前日160球も投げた楽天の田中投手は、翌日の9回にリリーフに立った。応援してくれる東北の人々、全国のファンに恩返ししたかったのであろう。星野監督もその心意気にノーと言えないほど今年の活躍はすごかった。果たして来年は大リーグ・・?
義理や人情といった言葉は現代社会では忘れられがちではあるが、人間が人間であることの証として「人生意気に感ず」は忘れることなく、生きていく上でのヒントとしていつまでも持ち続けたい言葉である。