横浜市の特別養護老人ホームの男性職員が入所者の預金口座から現金約1400万円を着服、北海道の特別養護老人ホームの男性職員が入所者6人の預金口座から現金約600万円を着服していたと、先日新聞に載っていた。二人とも、40歳前後の職員で金は全額返済されたが、懲戒免職になった。
他人の金に目がくらんだ男性職員をかばう余地はないが、着服が行われた組織にも問題はなくはない。
入所者からの預り金を引き出す際には、職員が申請書に記入し、金を引き出す仕組みとなっていたようだが、申請書に入所者本人の署名も入所者の受領サインも求めていないのが、致命的な欠陥である。中には、入所者が認知症等で記憶が定かでない人もいて、この署名等が意味をなさないこともあるかも知れない。よって、ひと月の限度額を定め、その額以内なら、職員が記入した申請書にもうひとりの職員が署名し、金を引き出すシステムにする必要がある。また、一定額以上の金の引き出しには、入所者の親族や保証人等の承諾を要する等が必要ではないかと思う。また、人手不足で難しいのかも知れませんが、適当な配置転換・担当の変更等も必要であろう。
いずれにしても、多忙ななかとは思うが、金の問題は細心の注意を払い、複数人の関与が必要と思われる。
このような事件が起こるたびに感じることではあるが、根絶は難しい。このような事件が当事務所の関与先で起こらぬよう祈るとともに、指導を徹底しようと気持ちを新たにした出来事であった。