アベノミクスの効果も一部の大企業(輸出産業)にとどまり、大企業でも国内産業や中小企業にはアベノミクスは無縁で相変わらず業績はぱっとしない会社が多い。アベノミクスによる金融政策(日銀による大量の資金供給)によって、円は1ドル109円となり、数年前の80円の頃と比べると、単純計算で、輸出収入が3割増収になることに加え、海外子会社の利益も円換算しただけで3割増えることになることが大きな要因である。しかしながら、ここに来て、来年からの相続税の増税が国内産業に明るいニュースとなるかも知れない。相続税を計算するときの基礎控除額が(5000万円+1000万円×法定相続人の数)から4割減の(3000万円+600万円×法定相続人の数)になるほか、最高税率も50%から55%へと増税されることで、今、相続税に関する講演会等も盛んに行われている。相続税の税収は当年度予算で1.5兆円だから仮に今回の増税で倍になるとしても日本の財政健全化や1000兆円を超える国の借金返済には大した効果は期待できない。今、日本の個人金融資産は1200兆円以上と言われ、その7割超が60歳以上の高齢者が所有している。これらの人たちがこれから増える相続税に対抗するため、孫への教育資金贈与や相続財産を減らすために遊興や旅行等の消費に金を使う傾向が強まるのではないかと推察される。ただ、増える相続税に備え、財布の紐が固くなる人も少なからずいると思われ、相殺される結果、あまり効果はないのかも知れないが・・・。
2014年11月01日