アベノミクスの一環として行われている日銀による大胆な金融緩和策の影響で円安が進み、輸出産業を中心とした大企業は創業以来最大の利益を計上している会社も少なくない。これにつられて、株価も上昇しており、景気は良くなったかの印象を受ける。しかしながら、中小企業では、原材料高に苦しみ、一向に業績は上向いていない。賃金が2%上昇したという話も公務員、一部の大企業のことであり、中小企業では縁がない。とりわけ、中小企業のうちでも従業員5人以下の零細企業では、社長の給与は従業員以下という企業も珍しくない。今後、こうした会社の業績が上昇に転じない限り、庶民が好景気を実感することはできないのではなかろうか。仮にこうした企業の業績が上昇しても直ぐに従業員の賃金上昇には繋がらず、傷んだ企業の財務状況の改善、社長がそれにふさわしい給与水準まで戻すことが先決であり、従業員の賃金上昇はそのあとのこととならざるを得ない。
一般庶民は、賃金の上昇もないまま、消費税の3%上昇、円安による食料品等の値段上昇により、生活は改善しないままである。今回、政府は消費税の再増税を1年半先送りしたが、その時までに庶民が景気回復を実感できるようになるか否かは、必ずしも楽観視できないのではないかと思えるほど、中小零細企業の実態は厳しい状況が続いている。
政治家にはこの機会に中小零細企業の実態、増加し続ける非正規社員の生活実態を適切に把握し、政策に反映していただきたいものである。