つい先日、スカイマーク株式会社(以下、「スカイマーク社」という。)が民事再生法の申請を行い、実質的に倒産した。今後は、裁判所の管理下で再生のための手続きが進められることとなる。通常、倒産する会社は多額の借入金の返済資金が不足したことを原因とすることが多い。そういう意味では、今回のスカイマーク社のように、銀行からの借入金が全くないのに倒産した事例は過去にもないのではないかと思われる。
スカイマーク社の決算書から読み取れるところは以下の通りである。
損益計算書を見ると、26年3月期の売上高は859億円とほぼ前期並みであるが、燃料費で30億円、航空機材リース料で45億円、合計75億円の増加により、営業利益は前期の46億円から△25億円となり、為替差益があるものの経常利益は△4億円となっている。この燃料費とリース料の上昇により、損益的にはかなり厳しくなり、26年12月までの第3四半期決算でも39億円の経常損失となっている。
貸借対照表からも、大きな問題点は見えてこない。平成26年3月期では、総資産787億円、そのうち純資産は446億円であり、自己資本比率は56.7%で、これはかなり良い水準である。流動比率も139%とそれほど悪い数値ではない。
しかしながら、注記事項をみると、(リース取引関係)として、「オペレーティング・リース取引のうち解約不能のものに係わる未経過リース料」が、25年3月期で598億円、26年3月では907億円と総資産を上回るリース債務が簿外となっていることがわかる。
キャッシュフロー計算書にはこの問題が如実に現れている。キャッシュフロー合計では、25年3月期は74億円、26年3月期は160億円のマイナスとなり、現預金等の残高は26年3月期では70億円(前期比160億円の減少)、26年9月では45億円と減ってしまった。
格安航空会社(LCC)との競走は激化しており、エアバス機の導入等により設備投資に多額の資金を投入したため、資金は枯渇してしまった。この改革が収益に結びつけばよかったが、航空機材の投入による増収はできなかった上に、燃料費の高騰、円安によるコスト増等が重なりついに資金が回らなくなってしまった。今後ANAやJALとの共同運行便を増やすことによって再生を図ろうとしており、ファンドがスポンサーになったようだが、今後が注目される。