法人税法上、役員の給与として損金に算入できるのは、原則として、定期に同額を支給する役員報酬のみとなっております。例外的に、税務署に「事前確定届出給与に関する届出書」という書類を提出することにより役員賞与も損金にすることができます。これを利用して社会保険料を削減するというアドバイスを行っている社会保険労務士が増えてきました。
これは、社会保険料の算定対象となる賞与の金額に上限が定められているため、月額報酬を低くして、減った分を賞与として払うことにより、年収を同額にしつつ、社会保険料を削減できるというものです。また、賞与はあらかじめ事前確定届出書を提出することにより税務上損金になりますから、一見バラ色の方策のような感じがします。しかしながら、これには以下のリスクがありますので注意が必要です。
1.社長だけうまくやっているという従業員からの妬みがでるリスクがある
2.業績が悪くなったときにも社長に賞与が払われることで、金融機関等の印象が悪くなるリスクがある
3.法人税法上、「不相当に高額な役員給与」は損金に不算入となっている。
年収総額は以前と変わらないので問題ないという見解もありますが、使用人に対する給与の支給状況、同業・同規模他社の支給状況と比較して、あまりに高額な社長に対する賞与は否認されるリスクがないとは言えない