先日、浜松日経懇話会で、東大名誉教授 畑村洋太郎氏の「東日本大震災に学ぶ」という講演を聴きました。三陸地方では、明治時代に15mの津波に襲われ、昭和初期にも10mの津波に襲われています。この対策として防潮堤が建設されていますが、古い防潮堤は持ちこたえたにも関わらず、新しい防潮堤の半分は全壊しました。津波をいなすための古い防潮堤(断面が円錐形)は残り、津波に対抗しようとした新しい防潮堤(断面が直方形)はぶっ壊れました。これらを検証しながら、浜松市の建設途上の防潮堤の話になりました。浜松市では、一条工務店グループの300億円の寄付を基に浜名湖から天竜川までの17.5kmに及ぶ高さ13mの防潮堤が建設されています(寄付を中心としているため、税金のみの公共事業と比較し短期間で完成見込み)。これにより、仮に15mの津波が襲来しても2mの越流で済み、被害を激減させる効果があるとのことで、100%の防災を考えるより、被害を最小にするための減災が重要とのことでした。なお、この防潮堤建設は資材の高騰等により300億円では足りず、浜松商工会議所でも50億円を目標として寄付を募集しております。
人間の記憶の減衰・消滅は激しく、300年経過すれば1/1000になってしまうそうです。大災害は発生頻度が低く、間隔が長いため、記憶が社会から消え、そのことで甚大な被害となってしまうこととなります。災害の知識を伝承するための教育、学校行事等が大切であり、常に、「あり得ることは起こる。あり得ないと思うことも起こる。思いつきもしないことさえ起こる。」ということを頭に置き、各自が主体的・能動的に行動できる人間となり、「率先して避難する。助けに行かない。助けに行く人を制止する勇気を持つ。」を実行することが重要なことと肝に銘じる必要があります。