税金は、取られるものだと感じて、皆、いやいや払うものだと思っている人が多いが、喜んで納税できるものがある。今流行りの「ふるさと納税」である。制度の内容等は、「STAFF BLOG ふるさと納税~どんな制度?~ 2014年7月31日」を見てください。
このふるさと納税は、日本の個人住民税(平成28年度からは法人版もできる)の制度の一つで、任意の自治体に寄付することにより、寄付した額のほぼ全額が税額控除されるものであり、正しくは「ふるさと寄附金」が正しいものと思われる。
納税者側からすると、自分の居住地以外の市町村に寄附する(税額控除制度により実質負担額は僅少額にとどまる。)ことにより、その市町村から返礼品をもらえることとなっている。返礼品(それぞれの地方の特産品が多い)は各市町村の「ふるさと納税」獲得競争により、華美になっていく傾向にある(ちなみに、総務省は換金性の高い商品券や家電製品を返礼品としないよう通知を各自治体に発した。)。納税者側からすると、やらなきゃ損という状況である。
ふるさと納税制度により、税収が豊富な市町村の住民が、それほど税収が豊富でない市町村に寄附することによる税の再分配が促進される効果もないではない。このためなら、もともと国の地方交付税があり、国民の選択に委ねる必要はない。
このふるさと納税制度には、大きな問題がある。日本全体の地方自治体の税収を考えたとき、返礼品の分だけ結果的に税収が減ったことと同じになる。一番の問題は、本来義務的支出である「税金」が返礼品目当ての支出となること、市民サービスを受ける住民は税を負担するという「受益者負担の原則」から大きく逸脱することである。政府はこの制度を法人にも拡大する方針のようだが、個人も含めて廃止するべきだと思う。