2015年より相続税を計算するときの基礎控除が以下に示す通り4割減少することとなったことはすでにご承知の通りですが、これによる影響がどのくらいあったか、興味深いデータが公表されました。
基礎控除の額
従前 5000万円+1000万円×法定相続人の数
現在 3000万円+ 600万円×法定相続人の数
名古屋国税局がこのほど(2016年12月)、2015年の相続税の申告状況を発表しました。それによれば、2014年と比べ、県内の申告税額は約25%増、課税対象者数は約95%増、課税される人の割合は9.7%(前年5.1%)と大幅に増加しました。大雑把にいえば、死亡した20人のうち1人が相続税の納税者でしたが、改正後は10人に1人が納税者と倍増しています。従前は、課税対象外であった人たちが税制改正により課税対象となったことにより、被相続人一人あたりの課税財産の価格は32.7%減の1億2323万円、税額は35.9%減の1158万円となっています。
いずれにしても、高齢者対策等で国の財政状況は厳しさを増している状況であり、税負担は増える傾向にあります。現在、相続税対策として不動産投資(※)が活発化しておりますが、これ以外にも婚姻期間20年以上の配偶者への居住用不動産の贈与(2000万円まで非課税)、生命保険金の非課税枠(500万円×法定相続人の数)の活用、教育資金の一括贈与(最高1500万円まで非課税)などがあります。
無理のない範囲で節税対策を実行することをおすすめ致します。また、いざというときに相続を円滑に進めるため、遺言書を作成することも重要です。
(※)不動産は相続税評価額が取引価額より低いため、不動産に投資することにより、財産の価額を減らす効果があります。