今ほど政治の役割が重要な時代はめずらしいのではないだろうか?
日本はGDP400兆円に対し国の借金残高は1000兆円に達している。国税収入41兆円、国債発行収入44兆円を原資として、社会保障費28兆円、国債償還・利払い費等22兆円を中心とする歳出92兆円を賄っている状況である。家計に例えると、毎年の生活費等(920万円)を支払うために年収(410万円)以上の借金(440万円)をしている状況であり、とても健全なものとは言えない。
ここ最近、ギリシャの財政破たんが言われているが、日本の状況は数値的にはギリシャにも劣るものである。違いは、日本の消費税は5%と低く、将来的な増税の余地があること、日本国債は日本人が所有していることくらいである。しかし、日本国債を6%所有している海外勢力が一斉に売り浴びせれば買い支えることはできず、国債価格の暴落を招き、ギリシャやイタリアの二の舞に成りかねない。
日本国債が暴落すれば、それを大量に所有している郵貯や銀行、生保への影響は甚大で国民生活も破壊的な影響を受けることとなる。今こそ日本国家の財政健全化への大ナタが必要とされる。つまるところ、歳出削減と増税以外にこれを回避する手段はない。日銀が一万円札を増刷すれば良いという意見もあるが、ハイパーインフレを招き、国家の借金が帳消しになる反面、物価は暴騰し貯蓄・預金は紙切れとなり大混乱となる。
歳出削減の出発点は、政治家の数の大幅削減、公務員給与水準の引き下げから始めなければ国民は納得しないであろう。その後、年金引き下げ、消費税等の増税を行う必要がある。「増税なき財政再建」「年金は百年安心」などと甘言を言う政治家を信用してはならず、強い政治のリーダーシップが必要とされる。国民も歳出削減や増税に不満をつのらせ、「甘言政治」を選択してはならない。日本国家、日本人の強い信念が今ほど重要なときはない。