役員と従業員は、会社等との契約が異なっております。
役員と会社等との契約は「委任契約」によっております。役員が取締役や理事の場合には、株主総会・評議員会等により会社等の経営を委任され、受任することにより取締役等に就任し経営業務を遂行することとなります。同様に、監査役や監事の場合には、株主総会・評議員会等より会社等の監査を委任され、受任することにより監査役等の就任し監査業務を遂行することとなります。委任契約と似ているものに「請負契約」があります。請負契約は、委任契約と異なり、完成物の引き渡し義務が生じることとなります。委任は業務遂行義務があり必ずしも成果物は求められていないことと比較すると、大きな相違点があります。また、委任契約は双方のいずれからも一方的にいつでも解任・辞任することができます。請負契約の場合には完成物の引き渡しまで一方的な契約破棄は原則として不可能です。
一方、従業員と会社等との関係は「雇用契約」となり、会社等は定年または契約期間満了まで雇用することを約束することとなりますので、よほどの事情がない限り、会社等から一方的に解雇することはできません。従業員からは、自分の意志でいつでも退職することは認められております。
上記により、役員等が受け取る役員報酬は株主総会等で決定され、委任された業務を遂行することとなりますので、従業員と異なり、時間外手当や休日出勤手当てのような補償はありません。経営成果により株主総会等で業績連動報酬や役員賞与を決めれば、役員等もそれらを受け取ることが可能となります。従業員は法的に時間外手当等の受給権利がありますが、役員等は株主総会等の議決によってのみ報酬の受給権利が与えられます。よって従業員が時間に拘束されるのに対し、役員等は必ずしも時間には拘束されません。
以上のように役員と従業員ではその立場が大きく異なります。契約の相違によるものであり、これらを理解することが会社等では重要なこととなります。
2018年12月22日
役員と従業員の相違
契約(委任契約と雇用契約)の違いにより様々な相違点がある